虎斑模様の楮2016/01/04

 昨年古本屋で見つけた、寿岳文章著「日本の紙」をようやく読み始めました。
 日本に紙が伝わり、日本で制作されていく過程や、正倉院に納められている紙の調査から得られた知見から、日本で流し漉きが生まれた時期、経緯、原料の繊維質の考察など、大変多岐にわたっており、読み込むのに時間がかかりそうです。

 その中でも、原料について書かれている箇所で、興味深い記述を見つけました。
 楮は古くから日本に自生し、各地に様々な種類があったこと。野生のものより、栽培したもののほうが分岐が少なく、良質の長い繊維が得られること。正倉院に納められている戸籍用紙の調査から、良質の紙は紙漉きの技術もあるが、原料の楮繊維の質にも要因があること。など楮栽培を始めた私にとって、良い和紙を作るために良い楮を造ろうと大変励みになる内容でした。

 また、斑点のある品種が、宮城県白石し在住の製紙家(紙衣を東大寺に納めている遠藤さんのことだろうか)に珍重されている虎斑とのこと。そういえば、私が栽培している楮の肌にも斑点があったなあと思い出しました。珍重されている理由が書かれていなかったのですが、丈夫な和紙が作れるからなのかなあ。
購入した本
右から2冊目を読んでいます。

皮削ぎ作業
今回収穫した、斑点のある楮。